誰もが、「幸せに年月を重ねて生きていきたい」、「おばあちゃんになっても好きなことをして活き活きと生きていきたい」、と思っているはず。では、どうしたらいいのでしょう。それは、今、楽しく生きているおばあちゃんに聞くのが一番。今回は、アメリカの代表的な絵本作家、ターシャ・チューダーさんの本をご紹介しす。
ターシャは1915年、アメリカ、ボストンに生まれました。父親は飛行機やヨットの設計者、母親は肖像画家でした。9歳の時、両親が離婚し、親戚に預けられます。23歳のとき結婚し、ニューハンプシャーへ。2男2女に恵まれますが、43歳のときに離婚。子ども達を一人で育てあげます。子どもは全員独立し、56歳のときにもっと田舎のバーモント州の山奥に18世紀風の農家を建てて、30万坪の美しい庭の手入れをしながら一人暮らしを始めました。現在91歳。近所には長男夫婦、孫夫婦が住んでいて、手伝いに来てくれたり、お茶の時間を一緒に過ごしたりしています。
こうしてみると、彼女が、楽で平穏な生活をしてきたというわけではないことに気がつきます。今、彼女が、自分の好きな仕事をし、多くの人が憧れるナチュラルなライフスタイルを実践しているのは、人生に果敢にチャレンジし、努力してきた結果なのです。
「離婚はしましたけど、結婚して良かったと、もちろん思っています。いい時期もあったし、四人の子どもにも恵まれたし、家族を養わなければならなかったおかげで活発な生活ができたのですから」という文章に、ターシャの考え方が凝縮しているように思えます。現実にきちんと向き合い、物事のいい面に光をあて続け、実り多い人生を手に入れたのでしょう。
そのような彼女のあり方から、どこか懐かしい感じのかわいらしい絵本、味わい深い手作りの人形、そして美しい花々が調和して咲き誇っている広大な敷地の庭などが生まれました。たくさんの人達が、その作品に安らぎや勇気を感じているのだと思います。
人生を乗り越えてきた彼女の 「何があっても『生きていることを楽しもう』という気持ちを忘れないで」 という言葉に、バーモントの寒く長い冬を乗り越え春を待つ草木のような、しなやかな力強さを感じました。