先日、本屋さんで、フジ子・ヘミングさんの本を見つけました。私は、フジ子さんの半生のことは以前から知っていたので「こんなにがんばってきた人がいるのを忘れてはいけない」と自分にいい聞かせる思いで、何冊か購入しました。
今回は、「運命」について書かれている「フジ子・ヘミング 運命の力」をご紹介します。
「運命は、自分の力ではどうすることもできない。一生懸命こちらがやっても、扉は開かない。だけど自分だけの力では開かない扉が、ほかからのなんらかの力で「いま!」っていうときが、必ず来る」
フジ子・へミングさんはNHKのドキュメンタリー番組『フジコ〜あるピアニストの軌跡〜』(1999年)の放映で大きな反響を呼んだピアニストです。類まれな才能を持っていながら、数奇な一見不幸な出来事に見舞われます。大事なリサイタルの直前に風邪をこじらせて耳が聞こえなくなったのです。初日はどうにか弾いたものの、後の演奏会はキャンセルするしかなかったのです。しかし、耳の治療に励み、病院の掃除婦や音楽教師として働いたりしながら、晩年にピアニストとして成功をつかみました。フジ子さんは捨てられたか弱い猫を、自分の食費を切り詰めてまで、何匹も飼った時期があったそうです。そしてその猫たちにフジ子さんは支えられてきました。人は、かぎりなく優しくなるために生きていくような気がします。
フジ子さんは、今、パリと下北沢に半分ずつ住んでいるそうです。パリは、私が学生のときに行ったことがありました。石畳の街を、好奇心で不安を追い払うように歩いたことを思い出し、とても懐かしく感じました。
本を読んだら、フジ子さんのピアノが聴きたくなり「イングリット・フジコ・ヘミングピアノ名曲集〜デラックスエディション2007」というCDを購入しました。次の新しいCDは、10月29日に入荷予定ということでした。2006年の12月にパリで録音したものだそうです。
フジ子さんの奏でるピアノの音色は心に染み入ります。深く優しく柔らかいその音色が、人々に安らぎと勇気を与えることを「運命」は知っていたのだと思います。