友人が結婚式で、桂 由美さんのその当時の新作ドレスを着ていました。薄い水色で、お姫様のドレスのようにフリルが何段もついた華やかなデザインでした。豪華さの中にも清楚さを感じさせるその美しさは、まさに女性の憧れでしょう。そのドレスを作ったのはどんな方なのだろう、と以前から思っていました。この本には、おとぎ話が大好きな女の子だった桂さんがブライダル事業を展開していく過程、仕事への想い、世界に通用する美しさについてなど、同じ女性として大変興味深いことが書かれてあります。
桂 由美さんは、女性ならたぶんほとんどの方がご存知の日本ブライダル界のパイオニア。デザイナー、経営者、リーダーの三つの役割をこなし、さらに結婚もされています。「夢のために知恵や力を総動員し、現実に変えていくことが、楽しくてたまらない」という快感がエネルギーとなって、「ブライダルという文化を日本に根付かせる」という夢は、次々と実現していったそうです。
しかし、その道のりは平坦なものではありませんでした。桂さんがウェディングドレスを出しはじめたときは和装の最盛期。同じ婚礼業界の人々に理解されず、つらい思いをされたときもありました。しかしそれにも負けず、事業を次々と成功され今にいたるそうです。ご主人がインタビューで「由美はたいした能力はないが、一筋の道を脇目もふらずにやってきた。ずば抜けた能力はなくても、一生懸命に一つの道を進んでいれば、一流と呼べるレベルになれるという良い例ではないでしょうか」と答えられたとか。人を羨む前に、まず自分が一生懸命でいることが大事なようです。
でもやはり、羨ましいと思ったこともあります。それは桂さんがオードリー・ヘップバーンとグレース王妃にお会いしてインタビューをなさったことです。オードリーには、平凡な毎日の中の一つ一つをじっくり味わって暮らす幸福を、グレース王妃からは人の奥深くにある美徳を感じられたそうです。世界の人々を魅了してきた女性には内側から輝く魅力があった。桂さんのドレスが魅力的なのは、そういうことを踏まえて作られているからなのでしょう。
私はあんなに豪華で美しく、夢が溢れるドレスを作る女性は、女王様のような暮らしをしているのだろうと勝手に想像していましたが、「豪華な宝石よりも自分の夢で輝きたい」とのこと。贅沢をするお金があったら事業に使うというその仕事に賭けるストイックさと情熱が、ドレスを単なる贅沢品ではなく、世界の人々の心に響く美しい芸術品に仕上げるのだと感じました。