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読本屋ひより堂おすすめの一冊

 
おすすめの1冊
『きみの友だち』重松清

「友だち」は、子どもだけの問題ではありません。
学校を出て、大人になってからも、かなり真剣に悩んだりします。
重松清さんの『きみの友だち』は、
そんな、迷える心にそっと光を与えてくれる本です。

登場するのは、小学生から中学生までの8人の「きみ」。
足が不自由だったり、重い病気を抱えていたり、
それぞれ何かしら荷を背負っている子どもたちが、
さらに重たい荷物を背負わされます。
人気者の地位を転校生に奪われる子がいます。
グループから突然仲間はずれにされる子がいます。
親友だと思っていた子に別の親友ができたり、
部活で後輩に追い越されたり……。
いずれも、学校という枠の中で生きる子どもにとっては、
足元が揺らぐような大事件です。
作者はそれを淡々と、けれど温かなまなざしで描き出します。

読み手としては、つい正義の味方の登場を期待してしまいますが、
現実がそうであるように、そんな人物は現われません。
それどころか、親や先生といった、
背負った荷を軽くしてくれそうな大人も登場しません。
8人の「きみ」は、それぞれ自分なりの工夫で、
荷を降ろしたり、あるいはその重さに慣れようとするのです。

彼らの孤独な闘いを描きながら、
作者は読み手に「友だちとは何か?」を問い続けます。
結局のところ、明快な答えは示されません。
けれど読み終えたとき、もっと根源的なことに気づかされます。
――なぜ、だれかと関係を結ばなくてはいけないのか?
――プレッシャーと闘ってまで、守りたいものは何か?
自分なりの答えを見つけ出すことによって、
「友だち」に関する不安から、少しだけ解放されるような気がします。

ちょっと重たい内容ですが、物語としての面白さはピカイチ!
「友だち」との距離のつかみ方が難しい今だからこそ、
ぜひとも読んでいただきたい、そんな本です。

■『きみの友だち』重松清
■ 新潮社 ■1,680円(税込)
 
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