「友だち」は、子どもだけの問題ではありません。
学校を出て、大人になってからも、かなり真剣に悩んだりします。
重松清さんの『きみの友だち』は、
そんな、迷える心にそっと光を与えてくれる本です。
登場するのは、小学生から中学生までの8人の「きみ」。
足が不自由だったり、重い病気を抱えていたり、
それぞれ何かしら荷を背負っている子どもたちが、
さらに重たい荷物を背負わされます。
人気者の地位を転校生に奪われる子がいます。
グループから突然仲間はずれにされる子がいます。
親友だと思っていた子に別の親友ができたり、
部活で後輩に追い越されたり……。
いずれも、学校という枠の中で生きる子どもにとっては、
足元が揺らぐような大事件です。
作者はそれを淡々と、けれど温かなまなざしで描き出します。
読み手としては、つい正義の味方の登場を期待してしまいますが、
現実がそうであるように、そんな人物は現われません。
それどころか、親や先生といった、
背負った荷を軽くしてくれそうな大人も登場しません。
8人の「きみ」は、それぞれ自分なりの工夫で、
荷を降ろしたり、あるいはその重さに慣れようとするのです。
彼らの孤独な闘いを描きながら、
作者は読み手に「友だちとは何か?」を問い続けます。
結局のところ、明快な答えは示されません。
けれど読み終えたとき、もっと根源的なことに気づかされます。
――なぜ、だれかと関係を結ばなくてはいけないのか?
――プレッシャーと闘ってまで、守りたいものは何か?
自分なりの答えを見つけ出すことによって、
「友だち」に関する不安から、少しだけ解放されるような気がします。
ちょっと重たい内容ですが、物語としての面白さはピカイチ!
「友だち」との距離のつかみ方が難しい今だからこそ、
ぜひとも読んでいただきたい、そんな本です。