今回は、ファンタジー作家・上橋菜穂子さんが書いた、
一気読みしたくなること間違いなしの長編ファンタジーを、
1・2巻まとめてご紹介させていただきます。
まずもって、『獣の奏者』というタイトルが魅力的です。
このタイトルを初めて目にしたとき、
映画『ゲド戦記』のポスターを思い出しました。
少年と竜が対峙している、壮大な物語を感じさせるポスターです。
でも、そのイメージはあながち外れてはいなかったようです。
この作品は、ある日突然、上橋さんの心に浮かんで離れなくなった、
「決して人に馴れぬ孤高の獣に向かって、竪琴を奏でる娘」
というイメージから生まれたと、あとがきに書いてありましたから。
物語のあらすじは、こうです。
主人公・エリンは、獣ノ医術師である母・ソヨンと暮らしていた。
ある日、ソヨンが世話をしていた戦闘用の“闘蛇”が死ぬ。
ソヨンはその責任を問われ、“闘蛇”によって処刑されてしまう。
死ぬ間際、ソヨンは指笛を鳴らして“闘蛇”を操り、エリンを救う。
孤児となったエリンは、蜂飼いのジョウンに助けられて暮らすうち、
山中で“闘蛇”の天敵である“王獣”と出会う。
その姿に魅了されたエリンは、自らも獣ノ医術師になる決意をする。
学舎に入ったエリンは、傷ついた王獣の子を救いたい一心で、
“王獣”を操る術を見つけてしまう。
しかし、“王獣”は決して馴らしてはいけない獣だった。
王国の命運をかけた争いに巻き込まれながら、
やがてエリンはその理由を、身をもって知ることになる。
「全ての生き物が共有している感情は、
愛ではなくて、恐怖である」と恩師に諭されても、
“王獣”を恐怖で支配することを拒むエリン。
そんなエリンが傷つき、悩み、虚しさにとりつかれながらも、
人と獣がともに生きる道を必死で探る姿が印象的です。
早く先を読みたくて、ページをめくるのがもどかしいほどなのに、
残りのページが減っていくのが残念でならない……。
「読み終えるのが惜しい!」という感覚を、たっぷり味わえる本です。