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読本屋ひより堂おすすめの一冊


 
おすすめの1冊
『獣の奏者I闘蛇篇』
『獣の奏者II王獣篇』上橋菜穂子

今回は、ファンタジー作家・上橋菜穂子さんが書いた、
一気読みしたくなること間違いなしの長編ファンタジーを、
1・2巻まとめてご紹介させていただきます。

まずもって、『獣の奏者』というタイトルが魅力的です。
このタイトルを初めて目にしたとき、
映画『ゲド戦記』のポスターを思い出しました。
少年と竜が対峙している、壮大な物語を感じさせるポスターです。
でも、そのイメージはあながち外れてはいなかったようです。
この作品は、ある日突然、上橋さんの心に浮かんで離れなくなった、
「決して人に馴れぬ孤高の獣に向かって、竪琴を奏でる娘」
というイメージから生まれたと、あとがきに書いてありましたから。

物語のあらすじは、こうです。
主人公・エリンは、獣ノ医術師である母・ソヨンと暮らしていた。
ある日、ソヨンが世話をしていた戦闘用の“闘蛇”が死ぬ。
ソヨンはその責任を問われ、“闘蛇”によって処刑されてしまう。
死ぬ間際、ソヨンは指笛を鳴らして“闘蛇”を操り、エリンを救う。
孤児となったエリンは、蜂飼いのジョウンに助けられて暮らすうち、
山中で“闘蛇”の天敵である“王獣”と出会う。
その姿に魅了されたエリンは、自らも獣ノ医術師になる決意をする。
学舎に入ったエリンは、傷ついた王獣の子を救いたい一心で、
“王獣”を操る術を見つけてしまう。
しかし、“王獣”は決して馴らしてはいけない獣だった。
王国の命運をかけた争いに巻き込まれながら、
やがてエリンはその理由を、身をもって知ることになる。

「全ての生き物が共有している感情は、
愛ではなくて、恐怖である」と恩師に諭されても、
“王獣”を恐怖で支配することを拒むエリン。
そんなエリンが傷つき、悩み、虚しさにとりつかれながらも、
人と獣がともに生きる道を必死で探る姿が印象的です。

早く先を読みたくて、ページをめくるのがもどかしいほどなのに、
残りのページが減っていくのが残念でならない……。
「読み終えるのが惜しい!」という感覚を、たっぷり味わえる本です。

■『獣の奏者I闘蛇篇』『獣の奏者II王獣篇』上橋菜穂子
■ 講談社 ■1,575円・1,680円(税込)
 
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