いきなりですが、質問です。1月2日・3日と言えば?
――この日付に、ピン!と来た方は文句なく、
そうでない方も間違いなく楽しめるのが、
直木賞作家・三浦しをんさんの『風が強く吹いている』です。
テーマは、ずばり“箱根駅伝”!
箱根駅伝、正式名称『東京箱根間往復大学駅伝競走』は、
東京・読売新聞社前から神奈川県・芦ノ湖までの往復約217kmを、
10人で、二日間かけて往復する大会です。
たった1本の襷をつなぐために、ひたむきに走る学生たち。
その姿は掛け値なしに美しく、感動的で、
毎年1月2日・3日に開催されるこの大会を、
心待ちにしている人も少なくありません(実は私もその一人です)。
『風が強く吹いている』は、
この“大学駅伝の最高峰”といわれる箱根駅伝に、
わずか10人で挑戦する大学生たちの物語です。
主人公は、高校時代“天才ランナー”と言われながら、
事件を起こして陸上を離れていた蔵原走(かける)。
(ちなみに走は、“仙台城西高校”出身という設定です)
物語は、東京の寛政大学に進学した走が、
偶然出会った4年生の清瀬灰二(通称:ハイジ)に、
格安のアパートを紹介されるところからはじまります。
案内されたのは、オンボロアパート「竹青荘」。
住人は、管理人のハイジ以下、ニコチン中毒の留年生、
生真面目な黒人留学生、お調子者の双子など、
ひとクセもふたクセもありそうな学生ばかり9名。
実はこの竹青荘、住人たちは全く気づいていませんが、
もともとは寛政大学陸上競技部の寮で、
入居すると自動的に陸上部に登録されるというのだから面白い!
ただ一人すべてを知るハイジは、天才ランナー・走の入居を機に、
長年温めてきた野望を実行に移します。
ハイジの大いなる野望とは、竹青荘の10人(住人)で、
箱根駅伝を目指すこと! しかも、その頂点を!
箱根駅伝まで、わずか9ヶ月。メンバーはギリギリの10名。
しかもハイジと走以外、陸上とは無縁のシロウトばかり。
竹青荘の住人たちは、厳しい予選を勝ち抜いて、
本当に箱根に行けるのか?
それ以前に、まともに走れるようになるのか?
キャッチフレーズは、「超ストレートな大型青春小説」。
晴れ渡る5月の空のような、爽快な読後感が楽しめる一冊です。