『青空のむこう』『チョコレート・アンダーグラウンド』
『海のはてまで連れてって』『魔法があるなら』
『チェンジ!』などで知られるイギリスの人気作家、
アレックス・シアラーの翻訳本、最新作です。
主人公は、ロンドンに暮らすデーヴィとマイク。
ある日二人は、ちょっとしたイタズラのつもりで、
“爆弾花火”をビルに投げ込みます。
するとビルは大爆発! 建物は一瞬にして瓦礫の山に!
あわてて逃げ出す少年たち。
その時、二人の前に若い男女(ショーとケリー)が現われます。
「かくまってあげよう」という言葉を信じて、
誘われるままについて行くデーヴィとマイク。
しかし、ウェールズの山荘で一緒に過ごすうちに、
何かがおかしいと感じはじめ、そして……。
退屈な秋休みを持て余す無邪気な少年たちと、
信じるもののために非情に生きようとする大人たち。
交わるはずのない人生が交差した五日間が、
それぞれの視点からていねいに描かれています。
デーヴィとマイクはいつ真実に気づくのか?
ショーとケリーは何者で、二人をどうするつもりなのか?
ドキドキハラハラさせながら、物語は次第に加速し、
やがて、意外な結末へとたどり着きます。
実は私、この本に《共訳者》として参加させていただきました。
シアラーの作品としては、『チェンジ!』に続いて2作目です。
少年少女を主人公に、イギリスの「今」を絡ませながら、
見事な物語に仕立て上げるのが、アレックス・シアラーの真骨頂。
たとえば、私たちが「イギリス」と呼んでいる国の正式名称が
「グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国」であり、
イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの
4つの地域から成り立っていることを踏まえて読むと、
物語をよりいっそう楽しめること間違いなし!です。
何も知らなかった少年たちが歴史の現実に直面しながら、
「人を信じること」を学び、成長していく姿は感動的。
ウェールズの荘厳な風景をバックに描かれた、
面白うて、やがて哀しき、
シアラーワールドを堪能できる一冊です。