2005年、「第46回講談社児童文学新人賞」を受賞した、
菅野雪虫さん(福島県出身)のデビュー作です。
主人公は、生まれて間もなく天山(てんざん)に
連れてこられた少女・ソニン。
ソニンは12年もの間、ひたすら巫女の修行に励みますが、
ある日、大巫女の「見込み違いだった」の一言で、
里へと帰されてしまいます。
物語は、“落ちこぼれの巫女”となったソニンが、
天山を下りて、普通の女の子に戻るところから始まります。
やさしい家族との温かな生活、心許せる親友との出会い。
里での暮らしは、貧しいながらも楽しいものでしたが、
沙維(サイ)の国の末の王子・イウォルと出会ったことで、
ソニンの運命は再び大きく動き出します。
イウォル王子は、生まれつき声を出せませでした。
そんな王子の心の声をただ一人「聴く」ことができたソニンは、
侍女として召し抱えられることになります。
そしてこの日からソニンは、巨山(コザン)、江南(カンナム)、
沙維(サイ)という三つの国を舞台に、
運命に翻弄されながら生きることになるのです。
何より魅力的なのは、ソニンの明るく誠実な性格です。
“落ちこぼれの巫女”として天山を下ろされることになっても、
“王子の侍女”という人がうらやむような境遇を得ても、
心乱すことなく、淡々と勤めを果たすだけ。
与えられた環境の中で自分の最善を尽くそうとする
ソニンのひたむきな姿は、周囲の人々の心を引き寄せ、
やがて、頼もしい人間関係を築き上げることになります。
そんなソニンが、過酷な運命を乗り越えながら、
人としてどのように成長してゆくのか。
シリーズ3作目の発売が、心から待たれる名作です。