東北日和について
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レッスンを行う陽あたりのよい部屋には、マリンバ2台と木目のアップライトピアノが1台。大きなマリンバは、音域が広く、毛糸玉のようなマレットで深くやわらかな音色を響かせます。奏者である渡辺さんは、カールした長い髪に、くるくると変わる表情がかわいらしいかた。「自分のペースを大切にしている」という、仙台での過ごし方をうかがいました。
―― コンサートのない日は、どのような生活ですか。
家族でそろって朝食をとるので、起きるのは朝6時。目覚めに乳酸菌飲料は欠かしません。“目覚めに”というのが、体調管理の秘訣なんです。午前中は主にマリンバの練習。練習の後、チョコやケーキなど甘いものとルイボスティーでひと息つきます。紅茶も好きでリーフティーも飲みますが、いまお気に入りなのがルイボスティー。健康に気をつかっているというより、ごく自然にそうなっている感じです。曜日によって、夕方から音楽教室で小学生を指導する日があったり、自宅で子どもから大人まで個人レッスンをする日があったり。レッスンのない日は、夕食を母と一緒につくります。お料理をつくるのが好きで、主に和食ですが中華・洋食等も好みます。大きくなったら母のように家事を楽しむ普通のお母さんになるんだろうと思っていました。いまのような生活はまったく想像もしていなくて、自分でもちょっと意外な気がします。
―― ゆったり豊かな日々に感じられます。
「これをしなきゃ」と思うと、心にゆとりがなくなって、演奏する音楽にも表れてしまうから。自分のペースを大切にしたいとは思っています。一人でゆっくり考えたり、反省したり、よかったなと振り返ったり。いつでもそれができる時間や心のゆとりはもっていたいな、と。仙台は、のんびりした私の性格に合っているみたいです。東京には高校の頃からレッスンに行ったり、大学も東京でしたが、どこか肩に力が入っている気がして。仙台だと子どもの頃からの友達がいて、応援してくれる人がいて。昔のまま変わらずに受け入れてもらえるから楽なんです。東京は、たまに楽しめればいいかな、と。仙台から日帰りでコンサートを聴きに行くこともできますから。
―― マリンバとの出合いはいつですか。
小学5年から習い始めました。それまでも、母が趣味でマリンバを習っていて練習する音を聴いていたので、ごく身近にありました。3歳から習っていたピアノと同じ鍵盤の並びだったのも、弾いてみたいと思ったところです。あたたかい音と響きの大きさも気に入って、マリンバを始めました。
―― マリンバ奏者として仙台に戻ってくることへの不安は?
それは、ありませんでした。もともとボランティアでもいいからマリンバを演奏して、聴いた人に喜んでいただければいいかなと思っていたので。それほど演奏活動を大々的にとは考えていなかったんです。自分ができることを、自分なりにできればいいかな、というくらいで。というのも、学生時代は技術の上手い下手が判断基準だったような気がして、自分がめざしている癒しの音楽とは、どこか違うかもと感じていました。大学の先生に相談して、「それなら音楽療法を学んでみたら」と勧められたんです。それで講座へ。高齢者の施設で演奏して、聴く人がどう感じるかを学んだり。音楽療法に役立つのではと、自分でホームヘルパーやベビーシッターの資格も取りました。さまざまな形で人を癒すことができれば、と思ったので。
―― 仙台でのソロ活動も順調でしたね。
まだまだです。仙台は全国的にみてもマリンバが盛んなところで、こちらに戻ってからも、お世話になったピアノの先生や知り合いから「弾いて」と頼まれ、そこで聴いてくださったかたから「今度はここで」とお声がかかりと、自然に演奏活動が広がっていきました。たまにマンドリンと間違って聴きに来られるかたもありますが(笑)。
子どもさん、お年寄り、聴きに来てくださるかたに合わせて選曲し、テンポの速い曲を入れて演奏する動きも楽しんでもらったり、ゆったりした曲でなごんでいただくようにと考えています。少しでも心に寄り添った音楽ができるいまは、すごく楽しいですね。
渡辺峰子さん
Watanabe Mineko
家族構成/父、母、兄、弟
1978年 仙台市生まれ
1996年
常盤木学園高校の音楽科を卒業
2000年
桐朋学園大学音楽学部の打楽器専攻を卒業
2001年
桐朋学園大学の科目等履修生として音楽療法特別講座を修了
2002年
仙台に拠点を移す
東北エリアを中心とするソロ活動を中心に、ほかの楽器とも共演。ゆったり優しい気持ちになれる音楽が、聴衆に好評。音楽教室でマリンバの指導にもあたる。
毛糸を巻いた4本のマレットで紡ぎだすやわらかい音は、パイプオルガンのような管を通して、床にまで響き渡る。
窓辺に飾られた打楽器のおもちゃは、10年前に買ったもの。スイッチを入れれば、こぐまが演奏してくれる。
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