ショートカットもすっきり。シンプルなパンツスタイルの山岡講子さんは、華やいだ雰囲気をまとったかた。女性としての美しさに手を抜かず、環境活動に取り組む生き方は、どこで、どんなふうに培われてきたのでしょう。年齢とともにますます輝く理由を探ります。

水辺や野山での遊びは、いまも鮮明

―― 北上川がゆったりと広がる河北町のご出身とか。

高校まで河北町で、それからはずっと仙台です。仙台で暮らした年数のほうが長いのに、原体験というのでしょうか、子どもの頃の印象がすごく強く残っています。
北上川の下流に位置する故郷の飯野川でのことなんですが、夏休みになると土手の粘土質のところにすべり台を作ってすべったり、砂と粘土で“弾丸”をつくったり。親に「服が汚れる」と叱られるのも気にせずに、粘土で核を作って、その周りに砂をつけてこぶし大に固めた弾丸を、友達と上から落として壊れたほうが負けとか、そんな遊びをしていました。

小学校5、6年くらいだったか、山歩きが好きな先生に「山さ行くべ」と連れられて、青空教室という感じでよく裏山に行っていました。春はカタクリの花を見て、「きれいなところじゃないと育たないよ」と聞き、「来年もまた採れるように、山菜は根こそぎ採らないこと」など自然へのルールも教わりました。

当時は『ミルク飲み人形』が出た頃で、遊んだ記憶もあるけれどパッと思い浮かぶことといったら、山や川で遊んだことなんですよね。ほんの数年の、短い期間だったはずなのに。

―― 家の外で遊ぶことが多かったんですね。

そうですね、男の子に混ざって遊ぶことも多かったですね。親は女の子らしく育てようと思っていたようですが(笑)。姉たちがいて末っ子だったので手伝いはあまりしていませんでしたが、ふだんの生活の中で季節を感じられる行事に自然と触れていました。
例えば、秋。着物をほどいて洗い張りをするんですが、ふとんの打ち直しの時期でもあるんです。洗い張りした着物の生地が、今度は布団の生地に縫いかえられるんです。それを横目で見ながら、洗い張りの板を滑り台にして遊んだりしていました。つくりたての布団って、ふかふかで気持ちがいいんですよね。寝っころがってると、「まだ縫いかけだから」と叱られたりして。今思えばお転婆だったのかもね。


モノがないところに工夫が生まれる

―― 昔と今の感覚は、かなり違いますね。

豊かな社会にあっても、モノの大切さを理解している若者もいます。そうでない人もいます。両極端ではないでしょうか。不安を覚えるのは、モノがあふれた豊かな社会ではあっても、人の心は豊かではないこと。そして、高い知識を生かしきるだけの知恵が、はたしてあるのか、というところも……。

明治、大正、昭和の時代を生きた母たちの世代は、モノが少なくても心豊かな生活となるように工夫してましたね。着物だったものを布団の生地に仕立てるように、大切に使いきる工夫がされていました。それを見て育ったことは、大きいでしょうね。

――工夫できるようになるには、どうすれば?

小さいときにモノのない生活を体験したり、身近な道具を使いこなしてみることです。頭でっかちではなく、まず体験することが大切ですから。そこから創意工夫が生まれます。何でもそろっていると、工夫はしないものですから。まずは、それからでしょう。


世のため、人のためではなく、わが子のため

――環境活動を始められたきっかけは?

大そうな志があったわけじゃないんです。「安全でおいしい水をいつまでも飲ませたい」という、子どもに対する親の思いからでした。自分が子どもの頃、飲んでいた水を「おいしかった」と覚えていたから、なおさらその思いが強かったんでしょうね。それに、人間の身体の70%は水分ですから。そういったことからも活動を始めたんです。最初は、台所からの排水に気をつけるようになりました。無リンの洗剤を使うなど、小さなことですけど。自分ひとりからでも始められることを実践していましたね。
親は愛情があるからこそ、子どもを危険なものから守りたいし、よい体験をさせたい、培ってもらいたいと思います。食べ物もそうです。本物の味を知ってほしい、と。上の子が言うんですけど、「うちに3分というラーメンはない。ラーメンと言ったら3時間はかかる」って。鶏ガラを買ってきて、スープをとって、それからラーメンですから。「お母さん、お願いだからインスタントラーメンを食べさせて」と言われたこともあります。やりすぎもよくないですけどね(笑)。
  プロフィール
山岡講子さん
Yamaoka Kouko

家族構成/長男夫婦・孫1人、次男

宮城県河北町(現・石巻市)生まれ

高校卒業後販売会社で8年間勤める。

専業主婦を17年間

1995年
自立と自律をめざし、女性のみのリフォーム店を起業。

1999年
NPO法人 環境会議所東北を発足
常務理事として運営を統括

2004年
みやぎグリーン購入ネットワーク設立
事務局長として運営を統括



花や観葉植物への水やりは、毎朝の日課。「もの言わぬものだから守ってあげないと」と命あるものに愛情を注ぐ。



紙袋は使わず、スタッフが持ち寄ったバッグを書類入れにしている。高さのある書類は、ふろしきで包んで、日本の知恵を生かす。











 
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