アンティークな風合いの家具と心地よい香り。やわらかい陽射しがさしこむ窓際にはテーブルがあり、奥にはソファも置かれています。ゆったりとしたサロンに名倉さんが現れると、パッと明るさが増したよう。ところがご本人は、「感覚派で破天荒。見ためと違うかも」と飾らない人柄。気さくな雰囲気でお話は始まりました。

「ないもの探し」から「あるもの探し」へ

―― 見ためと違うと、言われることが?

「しゃべると印象が違う」とは、よく言われます。お休みの日も家族で行くのは、遊園地より山とか海。山で虫取りをしたり、川遊びをしたり。土の匂いも好きなんです。仙台で生まれましたが、小さいころ宮城県の築館町に住んだことがあって、田んぼや山で泥んこになって男っぽい遊びをしていましたから。

―― これまで東北以外で暮らしたことは?

 ないんです。10代、20代は自分探しの時期でしたが、住む場所を変えれば見つかるとも思えなくて、生まれた地域で自分自身を見つけたいと、仙台をウロウロしていました。

もともとスタイリストをめざしていて、美容室に勤めながら通信教育で美容師の資格を取ろうと思っていたんです。それがアトピーで肌が弱かったので断念。母がしていた化粧品販売を手伝いながら、メイクとカラーを独学しているうちに結婚。翌年に長男、その翌年には次男が生まれて、流れのままに生きている感じで。このまま人生が終わるのは嫌だなと、漠然と思ったんです。
それには、おっぴさん()や祖母、母の生き方が影響しているかもしれません。おっぴさんは明治の女性で、家同士が決めた人と結婚し、家族に尽くした人。自由な生き方を主張することなんてできない時代でした。祖母はいま70代後半ですが、公務員の祖父に苦労をかけられないと、30代でレストランを開業したパワフルでエネルギッシュな人。母も専業主婦でしたが、私が小学校に入ってから仕事をはじめ、父と離婚してからは父親役もこなしながら、経営者として自分の夢を貫いている人です。

―― 3世代の思いを受けて、まっすぐに

ええ。代々の女性が夢みた自立をし、世の中の女性の自立のお手伝いをしながら、自分の生き方をスタイルアップしていきたいと思っています。でも、そう思えるまでの私は、後ろ向きだったんです。アトピーで美容師を断念し、肌を隠すメイクをして、自分に自信もなければ、学歴もない。けれど秘めた前向きさというんでしょうか。いいもの探しのアンテナは張っていたんです。
そのころ紹介されたのが、いまの仕事のモイスティーヌでした。「仕事として考えてみませんか」とお声がけいただいて、母と一緒に話を聞いたんですが、第一印象はヒキまくり。仙台では誰も知らないし、「あやしい。やめましょう」と(笑)。母を止めていたくらい。それが2週間スキンケア商品を使ってみたら、生まれて初めて人から肌をほめられたんです。それがうれしくて、表面上に自信がつくと、内面にも自信がつくんですね。後ろ向きでうつむいていた自分が、自分にビックリでした。

仕事をきっかけにいろんな女性に会いましたが、これも、あれももっているのにと思う人でも、自分に自信がもてない人が多いんだなぁと感じます。人はジグソーパズルの1ピースだと思うんですが、違うピースの場所に「ここなの」とはまろうとする人もいて。客観的に見ると、気づくことがあるんです。自分に「ないもの」を数えあげたらキリがありません。だったら「あるもの探し」をしていこうと。それで、「もっと大好きな自分との出会い」を、サロンのテーマにしたんです。
表面上の美しさであり、内面的な生き方であり。トータルに女性を素敵にしていこうと。毎日がそうだから、自然とテンションが上がってくるんです。


ムリをしないことが、成果への近道

―― お仕事に家庭にお忙しそうですが、ベビーシッターなどは?

いないんです。いまは、家庭より仕事の比重が少し多いくらいで、母が食事を助けてくれています。ときには、お掃除に手が回らないこともありますが、できないときはしない。クリーンな空間をつくって人間関係がギツギツになるんだったら、掃除は明日。そのかわり、できるときは徹底的にします。ムリをしても結果は出ないし、次のムリがきかなくなりますから。精神面がいかにフラットでいられるかが重要なんです。
カッコいい生き方は、自立しているだけではなく、家族のくつろぎもあってのことだと思っているんです。もちろん、主人や母や周りの協力もあってのことですが。
  プロフィール
名倉 愛さん
Nagura ai

家族構成/夫、長男、次男、長女

1973年 仙台市生まれ

1991年 
三島学園女子高校(現・東北生活文化大学高校)を卒業
美容室で働きながら、美容師の資格取得をめざす

1994年
美容室を退職。化粧品販売業のお母さまを手伝いながらメイクとカラーを独学

1999年
スキンケア商品を扱う『モイスティーヌ仙台販売』をお母さまと起業

結婚、出産のあと事業を立ち上げ。現在は、3児のママとして、妻として、経営者として、夢に向かう

:おっぴさん=仙台弁で、ひいおばあさんのこと。




「親というより、人としてのお手本」というお母さまの渡辺幸子さんは、愛さんにとって心強いサポーター。


ゆったりと肌をケアできるよう、「お姫さまになれる時間」をつくりだすサロン。スタッフと素敵な提案を考える。



















 
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