おいしい東北が、好き

―― 東京から仙台に来られて、24年ですね。

ええ。22歳で結婚して、滋さんが仙台の出身で、長男だからと戻ってきたのが、わたしが25歳の頃。まだ東北新幹線もないころ、東北本線で4時間かけてきたんです。たしか、上野から。
仙台には知り合いもいなくて、習い事もしたけれど、なかなかお友達ができなくて。10年以上、「帰りたい」が口ぐせでした。それが、今では東京よりも仙台が好きなくらい。食べものもおいしいし。

だんだん印象がよくなってきたのは、子どもが幼稚園に入ってサークルに行くようになってから。すぐ近くにアメリカンカントリーのお店があって、お店の陽子ママと知り合えたのが大きかったですね。ママは子育ての先輩で、悩みがあると駆け込み寺みたいに、すぐ行ってました。子どものことを相談しても「大丈夫よ」と言ってくれて、それで安心できたんです。そばに相談できる人がいるというのは大事なことで、それに支えられました。沖縄出身のママは料理を作る量もハンパじゃなくて、スープもトマトソースも大量につくって配るんです。子どものお弁当も、ママのお弁当日記を書き写させてもらっていました。


食べて、笑って、おしゃべりして

―― いい出会いでしたね。

 本当にそう。いまは、ママのお店で第2日曜に“ベリーベリークラブ”という8人の手作りサークルを立ち上げて、パッチワークやリースづくりをしているんです。そこでも料理を持ち寄って、炊き込みごはんやぬか漬け、沖縄料理にスープ、パンもあれば、ピザもある、スコーンもあるといった感じで。味はバラバラなんですけど、それが楽しいの。月1回、気の合う仲間と集まって、おしゃべりしながら手芸をして、おいしいものを食べれば、ストレス発散。

―― 仲間は広がっていくものですね。

それは不思議なくらいに。料理教室で知り合った陶芸をしている方も、まるで昔からの友達のようにうちとけて。電話したり、行き来しているんです。お料理上手な方で、家庭菜園でつくった野菜を調理し、自分のつくった器に盛り付けされたりして。自然がたくさんあるから、そういう人が育つのかしら。仙台の中心部から車で20分ほどの住吉台というところにお住まいなんですが、会いたいなと思ったら、すぐに行きます。
スタジオに仕事仲間が集まったときも、テーブルセッティングをして、滋さんが蕎麦を打つんです。更科とか、ゆず蕎麦とか。蕎麦打ちの道具や包丁もあって、本格的なんですよ。私が天ぷらをつくって。娘は白玉クリームあんみつをつくってくれます。
かえって仕事でストレスがたまったときのほうが、お菓子とかパンを焼きたくなっちゃうんですよね。無心になって、それに集中できるから。天然酵母のパンがふっくらしたのを見たときや、焼きたての香りがふわーっと広がったときが好きですね。たくさん焼いて友達に配って、喜ばれると、またうれしくなってくるし。人とのふれあいが一番ですよね。


大切にしたい、家族の食卓

―― では、落合さんの栄養源は?

やっぱり家族ですね。手作りの食事をテーブルに並べ、おいしいものを食べることは、大切にしていきたいですね。毎日のことなので、楽しく食事をつくれないときもあります。だから、できるときに、たくさんつくっておくんです。だしをいっぱいつくっておいたり、スープをつくって冷凍しておいたり。パンを焼いて、食べやすい大きさに切って冷凍しておいたり。そうすると、つくる時間を短縮できるでしょう。

家族の誕生日には、特別りっぱなプレゼントはないけれど、必ずケーキを焼いて、ローソクを立てるんです。お父さんの誕生日は、1月だからイチゴのデコレーションケーキ。季節によって、いろいろなケーキを焼きます。

子どもが小さいときも、怒るよりも、「話したいことがあるから時間をつくってね」と、子どもと話す時間をつくっていました。そのときも、お菓子をつくって、一緒に食べながら。しっかり話し合いの時間をもてば、怒ったりしなくても大丈夫なんです。

いまも家族や親戚が集まることが多いんですが、そんなときもテーブルには手作りのおいしいもの。働いていても、しっかり手作りした食事をつくってあげたいと思っています。
  プロフィール
落合順子さん
Ochiai Junko

家族構成/夫、長男、長女

1957年 東京都生まれ

1977年 
青葉学園短期大学の家政学科を卒業着物モデルとして活動

1982年 
夫の出身地である仙台へ移住

1991年
広告写真とデジタル映像制作を行う(有)シー・ポイントを夫と設立
料理撮影のフードコーディネートを開始

1999年
フードコーディネーターとして展覧会を共催

現在は食品メーカーの商品開発やレシピ提案、ウインドーディスプレイを手がける。(財)仙台市産業振興事業団や宮城県商工会連合会の専門家としても活動。



器はしまい込むのではなく、使う主義。土のぬくもりがする陶器が好きで、これは宮城県村田町に住む陶芸家の友人の作品。


小学2年生のころからマイ包丁があった長女の絵美さん。レシピを見なくても、想像して調理できるのは、落合さんゆずり。







 
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