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フェルト作家として雑誌などで紹介される高橋由香さんが、ショップをはじめて1年半。お店にはアンティークの糸車やパリでみつけた雑貨など、かわいいものがたくさん並んでいます。メディアに取り上げられることも多いけれど、ご本人はもの静かで控えめ。好きなことをしていたら自然と形になったという気負いのなさは、どこからくるのでしょう。

―― フェルト作りをはじめるきっかけは?
南仏などの雑貨も扱うカフェ、ノートルシャンブルさんによくお茶を飲みに行っていて、仲良くしてもらっていたんです。ある年のクリスマスに、ムトンをテーマにスタッフみんなで羊毛フェルトの小物を作っていて「楽しいからやってみない?」と声をかけてもらったのが最初です。
やってみたらすごく楽しくて、バッグを作ったり、娘のものを作ったり。専門的に習ったことはなくて、本を見ながらはじめました。
羊毛フェルトは歴史が古く、モンゴルやヨーロッパでは家族みんなで作るようなもの。決まりがあってないようなもので、できあがればよくて。自由に何のしがらみもなく作れるところも好きなんです。
―― 本格的に作りはじめるようになったのは?
フェルトのバッグを持ち歩いていたら、雑貨ショップのミルクティーハウスさんで、「手作りですか? うちに置いてみませんか」と声をかけられて。そんな売れるようなものは作れないのでとお断りしていたんですが、行くたびに声をかけてくださったので、コースターとか小さなものから置かせていただくようになりました。最初は自分が作ったものに値段をつけられなくて、楽しめたのでいいかなというくらいの値段で。それが思いのほか気に入ってくださる方が増えて、知らないうちに“フェルト作家”と紹介されるようになっていました。
ノートルシャンブルさんのオリジナル作品も作らせていただくようになり、スタッフさんが「由香さんに絶対合うから」と、いま置かせてもらっている東京のファーマーズテーブルさんを紹介してくださったんです。その後、作品や友人をとおして親しくなったフレデリックパントリーさんのオリジナル作品も手がけさせていただくようになりました。
―― もともと手作りするのが好きで?
子どもができてからです。それまではあまり楽しみもなくて。妊娠してからおくるみや帽子、コットンの生地でおもちゃを作るようになりました。母が若いころに編みものの先生をしていて、色々作ってくれていたので、その影響があるのかな。よく姉とおそろいの服を作ってくれました。くすんだ地味な色の。その頃の洋服の色が、いま好きな色になっています。子どもの頃から材料が好きで、意味もなく手芸屋さんをぶらぶらしていました。

―― 子どもの頃、楽しかったことといえば?
寝込むことの多い子で、アンデルセン童話集などの本を読むことが多かったですね。森の中のお城とか想像をふくらませながら。妄想族なので(笑)。
私たちが子どもの頃は遊び場が自由で、団地を造成中の切り崩した山で遊んで、遊びをつくっていました。大人があまり関わってこなくて、大人は大人でお茶しててという、あの環境はよかったですね。
白とかピンクの花びらをつぶして香水を作ってビンに入れたり、どろだんごを作ったり。子ども何人かでダンボールで秘密基地とか作って。いろんなものを家から持ち寄って、「ここは内緒ね」って。
そう思うと、いまも一緒ですね。小さなアトリエに集まってオリジナルの作品を作っているのも、ショップも。自分たちで「すごくかわいい!」とか言って喜んで。それをお客さまに提供して、「かわいい!」と言ってもらって満たされているので。
―― そんなふうに楽しむために、心がけていることは?
自問自答することでしょうか。「これは、やりたくてやっているの?」って。好きではじめたことでも、だんだん苦しくなることがありますから。パーッと進めるときもあるけど、定期的に迷いが生じるんです。楽しく思えないのはなぜだろうって。自分が本当に何をしたいのかな、と。
―― 迷いからの抜け出し方は?
ワクワク感、それに尽きるかな。迷ったら、ワクワクするほうを選ぶと間違いないんです。自分で決めると、失敗すら満足できるので。
そんなふうに変われたのは、子どものおかげかな。前は人のせいにしてたけど、子どもにとって恥ずかしくない親になろうと思って。変わるきっかけは人それぞれでしょうが、私の場合は子どもでした。
子どもからいろんなことを教わりました。無条件に人を信じることとか、愛の深さとか。親が子どもに無条件の愛を与えるのではなく、子どもが親に無条件の愛を与えてくれるんですね。 |