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総絞りのきものに身を包み、すっとたたずむ様子は、まさに着付の先生。それでもふと見れば、髪にはネコをかたどったかんざし、名古屋帯にも眠りネコの織り。「ネコ自慢してもいいかしら」のひと言から、いっきにその場の空気が和みます。楽しい雰囲気にする心くばりも、これまで歩んでこられた経験から身についたもののようです。

―― 素敵ですね、帯もかんざしも。
ネコが好きなので、帯とかんざしをネコでまとめてみたんです。自慢話はネコなら許されるというから、よく「うちの子は」と話しています。いちばんリラックスしているのが、ネコといるときですから。
母ネコと息子ネコがいて、息子ネコは抱っこしてテレビを見ていると、赤ちゃんみたいに仰向けになって下から見上げて、ときどき手で胸のところをトントンとするんです。「こっち見て!」という感じで。それでネコのほうを向くと、目を細めてこっち見て、かわいいの。
家に帰ると、そんな感じです。仕事や着付のときは、しゃんとするようにしていますけど、楽屋裏はとても見せられません。
―― 着付を習いはじめられたのは、いつ頃から?
20代後半に習いはじめました。きものが好きで、自分ひとりで着たいという、それだけの思いで。先生になろうとか、教室を開こうとか、これっぽっちも考えていなかったんです。
子どもの頃、地元で七五三のような「仏さん拝み」という行事があって、集落の子どもたちが集められるとき、赤いべべを着せられたのが、うれしくて。そのころから、きものが好きだったんですね。
お嫁に行く時に母が作ってくれたきものが、いくつかありましたし。その後、離婚したのですが、きものを眠らせておくのはもったいないから、着付でも習おうかと思って。興味がわいたら、深く考えずにやってみるほう。お気楽なんです。
習いはじめてみたら、先生から「教室を開いてみたら」と勧められ、自宅の8畳間で教室をはじめました。会社にも資格を取ったので、教えたいと断りを入れて。おかげさまで、これまで途切れず生徒さんも来てくださって、続けてこられました。
―― 小さいころから、前向きなほうでしたか。
着付や芝居をやっているので活発に見られますけど、小さいころは、あまり口数の多い子ではなかったようです。特に人見知りというわけではないのですが、積極的にリーダーシップをとるようなことはありませんでした。あっ、でも班長や部長をやっていたから、周りから言われればやるという感じですね。
いまみたいに話すようになったのは、着付を教えるようになってからです。着付の大会は先生方で運営するので、司会・進行やナレーターも必要になります。そのとき先生方から「舞台に立った経験があるなら」と言われれば、やらねば、と。
もともと舞台に出るのが、好きですから。自分じゃない何者かになるの、嫌いなほうじゃないんです。たとえ、手が震え、足が震えていても、それが楽しいんです。
―― 劇団活動は、なにをきっかけに?
高校のとき演劇部だったのですが、卒業後に1回だけ公演をするつもりで、サークル活動としてはじめました。公民館を借りて発表会を行ったら、自分たちも楽しくて、お客さんも集まってくださったので、それがいまも続いています。
仕事を終えて、夜に集まって、自分たちのお金を出し合って、損得抜きにひとつのお芝居をつくります。芝居が好きで、女優が好きなら、東京に出ているのでしょうけど、地元でクラブ活動の延長のようなものを楽しんでいるのは、気の合う仲間がいるから。ここに、人とのつながりがあるからです。

―― 仕事に着付に劇団と、お忙しいでしょう。
みんなから「大変だね、すごいね」と言われますが、そんなにすごいことをやっているとは思わないんです。好きでやっているから楽しいし、疲れても心地よい疲れ。がんばろうと思ってないの。好きなことをやっているだけなんです。
仙台に来るのも、新しい人に会えるし、次回来てくださる人が一人でも二人でもいればと、ワクワク感があるのがいいんです。
好きなことだけ、すればいいんですよ。少々わがままになっても。買い物をするお店も、話し方や考え方が合うお店に行きます。行っておしゃべりするだけで気分がよくなって、何を買おうかなと思うでしょ。だから、好きな人のところにだけ行くの。そうやって決めつけちゃうのもどうかと思うけど、それが自分なりの心地よく過ごす秘訣なんです。
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