海外で12年過ごし東北へ。それぞれの良さに気づく日々です。

海外でも、アジア系の留学生が少ないアイルランドで過ごした月日が長い月輪まり子さん。幼い頃から中学までピアノにうちこみ、中・高では演劇にめざめ、大学は海外で民族音楽を学びと、好きなことを、好きな場所で行ってきました。しなやかな中にも芯のあるまり子さんに、海外でのこと、いま東北で感じていることをうかがいました。

留学は子どもの頃からの淡い夢

―― イギリスには、お知り合いが?

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兄と姉がイギリスに留学していましたが、住んでいたところが違うので、身近というわけではありませんでした。専攻もまったく別で、姉はアート、兄がイギリスの経済や歴史など全般で、私が音楽ですから。

 

―― ご兄姉みなさん留学されたんですね。

親から「若いうちに広い世界を見ておきなさい」と言われていましたし、子どもの頃から留学したいという淡い夢があって。できれば、英語が使えて、歴史のある国に行きたいと思っていました。

そこで学びたかったのが、音楽です。子どもの頃からクラシック音楽やいろいろな国の音楽に興味があったので、民族音楽を学びたいと思って。

日本に、ブリティッシュ・カウンシルというイギリスの国際文化交流機関があって、そこにイギリスのすべての大学の資料がそろっているんです。そこで調べてみたら、民族音楽を専門に学べるのはイギリス国内では、クイーンズ大学だけ。それが、アイルランドにあったんです。

大学がある北アイルランドの首都ベルファストは、歴史を感じさせる建物があって、教会もそこら中にあって、素敵な街です。最初は寮に入り、そのあと、学生が数人で共同生活をする「フラット」というところに住んでいました。

―― 言葉の壁はありませんでしたか。

アイルランドに行く前に、イングランドで1年、英語を勉強したのですが、初めは英語が不自由でした。

留学したクイーンズ大学の社会人類学部も音楽学部も、どちらも留学生が少なくて、アジアからの留学生が珍しいくらい。日本人は、私ひとり。ホームシックにはなりませんでしたが、ちょっとシャイな性格もあって、慣れるまでに時間がかかりました。

ユーモア感覚で結ばれる友人

―― 国によって、気質に違いはありますか。

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一概には言えませんが、おおまかに言えば、アメリカ人はオープンで、イギリス人は保守的。イギリスは日本と似ていて、すぐには友達にならないようなところがあります。

ただ、言葉でいえば、英語は率直にものを言いやすくて、日本は婉曲で率直に言いづらいところはあります。あいまいな言い方にも良さはあると思いますが、私は率直にものを言うほうなので、イギリス的だなと思うときもあります。

 

―― 仲の良い友達は、今も海外に?

アイルランド、アメリカ、ドイツなどにいます。友人とは考え方が同じというわけではありませんが、価値観が似ています。大事なのは、ユーモアの感覚ですね。同じものを見て、聞いて、一緒に笑えるかどうか。

人種や言語や年齢が違っていても、それが垣根にはなりません。考え方しだい、ユーモア感覚は共有できます。

アイルランドに住んでいる友人も、かなり年上の男性です。いつも淡々と冷静に話を聞いてくれます。

―― くじけそうな時なども?

いちばん大変だと感じたときも、そうです。大学を卒業した後、障害をもっている人たちと一緒に暮らす村のようなところで、ボランティアをしていたことがありました。いくつか家があり、ハウスペアレンツがいて、ボランティアがいて、畑を耕し、ワークショップをしながら暮らすようなところです。

障害をもった人との関係はまったく苦ではなかったのですが、村のような狭い社会でのボランティア仲間との人間関係が難しかったですね。

いろんなことを気にしすぎてしまうんです。人の言ったことを気にしすぎる、人からどう思われるかも気にしすぎる。この時期は、自分の弱点や悪い点に向き合えました。

つらいことがあって友達に電話すると、いつもウンウンと聞いてくれて。アドバイスみたいなことを言ってくれることもあって、それがもとでたまにケンカになったりもするんですけど。こんなに率直にものを言い合って、ケンカできるんだと思うくらい。信頼して率直にものを言いあえる関係になれるものなんですね。

 
プロフィール
月輪まり子さん
Tsukinowa Mariko
家族構成/父、母、兄
東京生まれ、横浜育ち
4歳からピアノを習う
高校卒業後、イギリスへ留学
北アイルランド、クイーンズ大学を卒業
クラシック音楽と民族音楽学の学位を取得
ボランティア村で福祉活動を約1年
並行して、北アイルランド・ケルティックライアー・オーケストラにも所属
小・中学校に音楽教師として勤務
アイリッシュハープをエスター マクキム氏に師事
2005年、帰国。宮城県角田市に在住
海外で生活している間に、両親が父親の出身地である角田市に移住。帰国して、はじめて東北で暮らすように。現在は、民族楽器のアイリッシュハープやライアーの響きを届けたいと、東北を中心に演奏活動を行う。
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はじめてアイリッシュハープを見たときから、見ための美しさと、やさしい響きが、すんなり自分の中に入ってきたそう。

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フォーク系のアイリッシュハープを弾くときは、衣装も民族的なものに。靴はお母さまから、アクセサリーもいただきものが多い。

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アイルランドのシンボルであり、ギネスビールのロゴにも使われているアイリッシュハープ。友人からプレゼントされた小物などにも、ハープがあしらわれている。

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