“パート”というmama+jobで生き方探し
石坂ともみさん[仮名](38歳)
美容サロンスタッフ/子・長男9歳

始まりは経済的な理由から
 「夫が店を持つことが夢で、そのフォローとして仕事をするというスタートでした。」ご主人はバーテンダー。独立して自分の店を持つことは夫婦の大きな賭けだった。

託児付きの化粧品の販売スタッフ募集にチャレンジしたのは息子が1歳半の頃。しかし希望した勤務地には託児所は無く、保育所に入るまでの半年は子連れで勤務した。「息子が保育所に入るまでは当然ながらきちんとした仕事はできませんでした。しかし夫の開業の支えになろうとそれなりに必死だったと思います。」


新しい職場との出会い
スタートから“パート”として勤務を続ける石坂さん。子供が幼いうちは長時間の勤務は困難であることに加え、正社員は狭き門。夫の扶養内で働くのが妥当との判断だった。

何となく選んだ仕事に疑問を感じ始めた頃、別なスキンケア製品に出会って魅力を感じるように。タイミング良くスタッフを探していると声をかけられた。仕事をするなら、自信を持ってすすめられるものを売りたいと感じ、思い切って転職。最初の職場に入って1年少しの頃、息子は2歳になっていた。同じ業種、同じパートタイマーながら、自身が良いと思える製品をすすめる仕事に魅力を感じられるようになった。


割切ってmama+jobを続けることの難しさ
 パートを続けるのかということには常に迷いがあった。息子に兄妹が欲しいと訴えられても、出産に伴い仕事をどうするか決めなければならない。何の保証も無いまま振り出しに戻り、再スタートできるかということにも戸惑いを感じた。中断か継続か‥右往左往しつつも、自身はそれなりにキャリアを重ね数年が経過した。

長男は3年生への進級を前に自ら学童保育通いを止めると言い出した。父親が日中家にいるということもあったが、ママがいなくても大丈夫という“脱子ども宣言”だった。父親も夕方おやつを摘む息子を見て母親に変わって夕食を作るようになった。「母親が“子どもが”とやきもきしている間に、気がつけば家族は私の前を歩んでいた。今は母親・妻であることを前提に生きる道を決めるのではなく、自分の価値観で求める自分像を描いて次のステップに進んだ方がよいと考えるようになりました。」


母親の生き方
オーナーもすでに孫を抱える現役母兼祖母。『母親』の肩書きを離れ社会で活躍するのが容易ではないことを身を持って体験してきた。サロンに関わる販売員も多くは現役の母・主婦であり“仕事”という意識を持つまでに長い時間を必要とする人も多い。生き方を見つけたいならそれなりの気持ちで向かって欲しいとオーナーはメンバーにメッセージを送る。
「オーナーの言葉からも自分を見直す時期に来ていると感じます。今はまだ具体的なビジョンは見えませんが、自分のスタンスについて前向きに考えていきたい。」


取材者の感じたこと
石坂さんの職場は、主婦同士が個々の価値観と向かい合う中で成長し、かつ主婦ならではのアプローチでユーザーと関わるなど“主婦”“女性”であることを生かせる職場のようでした。キャリアを積むことが難しい主婦パートこそ自身を生かせる職場選びが大切かもしれません。

必ずしもmama+jobの決意を急ぐのではなく、パートのような働き方を選んで、母としての自分を大事にしながらゆっくりと自分探しをしいくというのもひとつの道ではないかと感じました。

長男と。
「語るほど立派なことは何もなくて」と照れくさそうに話す石坂さん。夫婦の仕事の時間が大きく違うだけに、家族全体のかかわり、子どもの成長に気を配ってきたことが伺える。
「仕事で大きく成功したいなど特別な気持ちはありません。でも純粋に仕事が楽しいという思いがあり、それなりに充実しています。様々な技術を身につけられたことは自信になっていて将来のためにもなると感じるし、息子との親子関係にも良い影響があると思います。」
 
これまでの仕事について 振り返ってもらいました
これまでの自身の心境の変化について、子どもさんの成長とともに振り返ってもらいました。


長男が生まれてから入園まで
生後間もなくからアトピーがひどく少なからず不安があったそう。
パートを始めた当時、長男は1歳6ヶ月。子育てにようやく慣れた頃の就業、アトピー、そして夫の開業‥と先が見えず不安が大きかった時期。「帰宅後食事、入浴などをさせる間に主人が出勤する生活。保育所に入るまでは職場でも育児から解放されず大変でした。夫が協力的だったのが救いでした。」


長男2歳で保育所に
心配をよそに長男は活発な子に成長。保育所でも積極的に友達と遊ぶ姿に励まされたといいます。
自身も肌が弱く、前職では肌荒れをクリームで隠しつつ営業に。会社の方針にも疑問を感じるようになる中、現職の製品をひっそり使い始めた。「仕事は仕事と割切ればと思っていましたが、やはり無理が‥。熱意のある今のオーナーに励まされ決心しました。」長男入園後、半年が過ぎた頃転職。


新店舗オープンに携わった頃
オーナーは20年以上の主婦経験後に自宅で小さなサロンを開業。石坂さんがスタッフとして入って3年目で中古店鋪を購入し、サロンを拡充させたそうで、写真はその新店舗オープンの日。
息子さんが5歳の時で、2人目を作るかどうかで一番揺れていた時期だ。
「職場も大きなステップを踏み、私自身も仕事に対する充実感、自分で得たお金で子どものものを買うことができる喜び‥など、働く楽しさ感じるようになりました。しかし同時に母としての迷いも強く。今思えば働く母としての大きな転換期だったと思います。」


新店舗で4年目を迎えて
オーナーの転身に憧れ、サロン開業を目指したいと考えたこともあった。しかし、仕事を深く知るにつれ本当の厳しさも知るようになり、果たしてサロンを持つことが自分の夢なのかということも考えた。
スタッフ間のディスカッション、多くの人の前で話す機会などが増え、決して社交的ではなかった自分が大きく変わったという実感はあるそう。「もっと自信の持てる自分になることがささやかながらも一番の目標。」“母親”から一歩外に出ての、自分探しは始まったばかり。

 
バックナンバー
vol.016
子どもに関わる仕事に「たどりついた」
vol.015
出産を機に好きなことが仕事に
vol.014
3人のママ+正社員
vol.013
ママ+カラーセラピスト+事務
vol.012
mama+jobの資格選びと活かし方
vol.011
mama+jobの選択肢1 〜資格をとって働く〜
野菜ソムリエの資格が導いた新しい仕事への道
vol.010
子どもの保育を考える4/そのほかの保育サービス
vol.009
“パート”というmama+jobで生き方探し
vol.008
子どもの保育を考える3/幼稚園にサポートしてもらう保育
vol.007
幼稚園を選択し、子どもの生活優先のmama+job
vol.006
子どもの保育を考える2/保育所にサポートしてもらう保育
vol.005
我が家の保育所体験レポート
vol.004
子どもの保育を考える1/祖父母にサポートしてもらう保育
vol.003
実家で育児援助してもらうmama+job
vol.002
育児女性の再就職支援事業が東北でもスタート
vol.001
再就職して感じていること
遠藤佳子さん
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