前職では、某新聞社で販売店の営業指導に長年携わり、出張で各地を飛び回っていた。長女を出産後も、約10ヶ月の産休をとって職場復帰。配属は内勤に変わったが、ときには泊りがけの出張や土曜出勤もあり、残業もこなしていたという。忙しい夫に代わって、子育てを支えてくれたのは近所に住む実家のお母さん。ずっと専業主婦だったお母さんは、彼女が産後もハードな仕事を続けるのに反対しつつも、かわいい孫のためにと協力してくれた。 しかし、次女が生まれると、お母さんも赤ちゃんと幼稚園児のお世話にさすがに疲れ果ててギブアップ。子どもたちとの時間があまりとれないことに悩んでいた彼女も限界を感じ、12年間勤めた仕事を退職することを決心した。
ちょうど退職を考えていたころ、「野菜ソムリエ」の資格がマスコミでとり上げられるようになり、興味を持った。当時仙台は講座が開かれていなかったが、「時間の余裕もできたし、思い立ったが吉日」と、迷わずジュニアマイスター講座の受講をスタート。約2ヶ月間ほぼ毎週末、東京まで新幹線で講座通いを続けた。そして、今まで気づかなかった野菜や果物の魅力にどんどん惹きこまれていく。 結局その先の「マイスター」資格を目指し、2005年の1月から3月の間、再び週末は東京へ。その間子供たちの面倒は、夫やお母さんが全面的に協力してくれた。講座の後には難関の試験も待ち受けていたが、寝る暇を惜しんで勉強し、秋には見事合格を果たした。
資格を取得してからも、野菜コーナーで新顔野菜をチェックしたり、東京でのワークショップに参加したりと精力的に勉強を続けた。やがて熱心さを買われて、日本ベジタブル&フルーツ協会から講座のアテンドなどを依頼されるようになり、今ではマネージャーとして同協会仙台支社の運営も担っている。 協会のワークショップや講座は土日の開催が多いため、幼稚園や小学校の行事と重なることが多いのが悩み。それでも、一度出勤してから途中で抜けて行事に顔を出し、また仕事に戻るなど、子供たちのために涙ぐましい努力をしている。 「この資格をとったことで、主婦として、母親として実生活に役立っています。それから、仕事を通じて人の輪が広がったことや、組織の一員としてではなく自分の意志で動けるようになったことも嬉しい変化ですね。最近では、幼稚園の家庭学級などに講師として出向くことも増えてきましたが、子供たちが心身健やかにに育つために、まず家庭の料理を担うお母さんたちの食に対する知識や関心を高めたい。そういう地域貢献につながる活動をこれからも地道に続けていくのが目標です。」 「ベジタブル&フルーツマイスター」 日本ベジタブル&フルーツマイスター協会が2001年から開始した民間資格。 詳しくは協会ホームページ http://www.vege-fru.comを。