颯爽としていながらもエレガントな中居るみ子さん。細身に黒い上下で決めた姿は、ビジネスシーンの第一線を走り続ける女性に見えるけれど、実際には2人のお子さんのママでもあります。子育てと仕事のバランスの取り方、子どもから得た視点の広がり、今後のキャリアビジョンまで、うかがいました。



大学まで実家で暮らしていた中居さん。卒業後は、地元で働くという選択肢もあったけれど、「このまま実家にいたら、甘えてしまう」と、自立するためにあえて東京の会社に就職した。東京は、地元の岩手とは、人の多さもスピード感も違っていた。

人材派遣の会社に決めたのは「人と接する仕事がしたかったから」。企業へ働きかける営業として、「成績あげます!結果だします!」と、とにかく前向き。24歳で結婚するときも寿退職などまったく考えることもなく、エネルギッシュさはそのまま。25歳で主任へと、スムーズに昇進した。


新しい命がお腹にやどったときも、仕事を辞めることは頭をよぎらなかった。それは、身近に働く先輩ママがいたから。

「その人が、ごく普通のことのように働いていたんです。だから、自分もできるだろうと思って」

働くママへの第一歩を気軽に踏み出した中居さんだったけれど、実はそれからがたいへんだった。
「とにかく時間がないんです。仕事にかける時間も、子どもにかける時間も」

子どもと一緒にいたいと後ろ髪をひかれながら、出勤する毎日。
「子どものために、仕事を辞めたほうがいいのかな?」
夫に相談したこともあった。

そんなとき、夫は「辞めたければ、辞めれば」と中居さんの気持ちを尊重してくれる。でも、そう言われると「そんなに簡単じゃないのよ」と返してしまう。もともと保守的なほうだから、辞めたらきっとそのままになるはず。仕事を続けていけば、自分が変化せざるを得ない。成長もしていける。それが、魅力でもあった。


悩みを抱えながらも、同僚や上司に支えられ、残業をしないワークスタイルを続ける。退社後にかかってくる営業先からの電話には、庶務の同僚が対応してくれた。できるだけ負担をかけないように、同僚には自分の仕事の進捗状況を報告し、自分がいなくても判断しやすいようにと心がけた。

対応してもらった後には、必ず「ありがとう」という感謝の言葉も忘れない。ときには、お昼をごちそうすることもあったとか。上司も快く営業先の対応を引き受けてくれた。しっかりサポートしてくれる同僚や上司へ中居さんが心がけたのは、感謝の気持ちを伝えることと、営業成績を落とさないこと。残業ゼロで、働く時間はかなり限られる。それでも、子どもができる前と後とで、変わらない営業成績を保つ。それは、応援してくれる周囲への心配りであり、営業としてのプロ意識でもあった。仕事も子育ても中途半端と自分では思いながらも、押さえるべきポイントは、きちんと押さえる。だから、周囲も快く協力してくれたに違いない。


キャリアを重ねる女性にとって、子育てによる時間の制約は相当なもの。体力的にも精神的にも、かなりの労力がかかる。では、働く女性にとって、子育てはデメリットだけなのだろうか。

「子どもが、ほどよい加減にしてくれるんです。がんばり過ぎちゃう性格なので」

中居さんから返ってきたのは、ちょっと意外な答え。がんばり屋さんは、子どもができたら、さらにがんばるのかと思っていたら、逆にペースダウンできたとは。

「それまで四季や風情といったものには無縁だったんですが、子どもの保育園の行事などで季節を感じる、というか、感じざるを得ないんですけどね。保育園の帰り道に公園のブランコにのっていたら、息子が紅葉を見て『お母さん、あの赤い山いいね』って言えば、赤い山という表現もあるんだと気づかされたり。子どもが視界を広げてくれるっていうんでしょうか」

多忙なビジネスの世界に身をおいていると、季節はめぐってゆくのに、いっさい目に入ってこないことがある。それが、子どものテンポに合わせれば、目線を下げれば、道端の草にも、空を流れる雲にも、彩りを変えていく木の葉にも、気づくことができる。

仕事にひと呼吸おくことの大切さを、子どもが教えてくれた。
  プロフィール
中居るみ子さん Nakai Rumiko
1966年生まれ。
家族構成/夫、長男、長女、柴犬

1989年 岩手大学人文社会科学部卒業
東京の人材派遣会社に入社
営業職を経験

1997年 退職
添削アルバイトなどを1年半行う

2000年 もとの会社と契約
研修インストラクターとして週3日勤務

2002年 夫の転勤で、東京から仙台へ
研修インストラクターとして週1日勤務

2004年 現在の会社に入社
『みやぎジョブカフェ』参画企業のプランナーとして、地域企業へ若者の人材育成システムの構築を図る



すぐ連絡できるよう、営業先300枚ほどを整理した名刺ファイルは、いつもデスクの上。1日20件ちかく電話でやりとりする。























 
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