“できない論”から一歩ふみだせた
コーチングによって、後藤さん自身にも変化はあったのだろうか。

「カッコいい言い方をすると、自己責任が取れるようになってきたこと。それまでは、自分の中で取りかかる前から、できない言い訳をつくっていました」
会社を立ち上げ、企業に行って講習をするなんて、それまでの後藤さんの人生の選択肢にはなかった。けれど、コーチングが一歩ふみだす勇気をくれた。この仕事をはじめてからも、時間的に精神的に追い込まれたときはあった。父親が入院して夜中に付き添い、同居していた夫の父親の入院まで重なった。しかも、夫は単身赴任。

 「昔だったら、どちらの父も入院しているから。夫も単身赴任でいないし。だから仕事なんかできない、と言っていたはず」
それでも、なんとかやり遂げた。いまも義母の介護にあたりながら、都合に合わせてショートステイを利用し、仕事をつづけている。
「コーチングを学んで、自分の内なる会話が変わってきました。「できっこない」から「できるためには」に」
それができるようになったのは、どういう自分でありたいか、どういう自分になりたいかが、明確になったからでもある。


要望に応えた結果、いまがある
けれど、「けっして計画的なほうじゃない」と後藤さん。企業で働いていたころは出張つづき。結婚もしたから、地元でのんびり働こうと契約社員になったけれど、東京のボスの要請に応え、プロジェクトのまとめ役として単身赴任した。つねに懸命に、目の前にあることに集中するタイプ。プロジェクトを終え、仙台でのんびり働くつもりで企業10社ほどをまわったが、そのときは41歳という年齢が立ちはだかり、『東京だったら仕事がありますけど……』という反応ばかり。でも、もしここでスムーズに就職できていたら、いまの後藤さんはなかった。
知り合いに声がけして始めていたフリーのコーチの仕事が、少しずつ増えていった。企業とも契約を結ぶようになり、「法人でなければ」という条件に応じて有限会社にした。

「あとさき考えず会社を立ち上げ。会場を借りてコーチング講習を行っていたら、賃貸料と変わらないということで、1室借りることになり」と、事務所があるビル内に、もう1室借りている。
「事業の何カ年計画も立てていない自分はダメなんじゃないか」
そう言いながらも、さしせまった不安や焦りが感じられないのは、コーチとしてやるべきことをやっている心のゆとりかもしれない。


全国を飛びまわりブラッシュアップ
「人を成長させて、自分だけ成長しないのでは置いていかれるから」と、1カ月に平均1〜2日はコーチングのトレーニングに参加する。ネットで情報を探し、自分に役立つと思えば、東京、大阪、福岡など、どこまでも出かけていく。それは、参加するたびに、気づかされることがあるから。たとえば、コーチングスキルやマインドを鍋と考えると、素材は人。同じ素材を使っても、調理する人によって仕上がりは違ってくる。
「温めたり、煮たり、揚げたり、毎回違うんです。鍋の数が多ければ、素材を活かす料理のレパートリーも広がってきます。だし巻き専門の鍋も出てきて、あぁそれもあったか、という感じで」
いかに多くの鍋を得られるか、自分の人間観や人への姿勢をブラッシュアップするために、全国のコーチング研修に参加している。


途上国の子どもたちを支援したい
それだけ力を入れているコーチングも、後藤さんにとって最終目的ではない。未来像は、もっと別のところにある。

「将来は東南アジアに住んで、子どもたちや学校の先生にコーチングのノウハウを伝えながら、子どもの可能性を広げていく海外支援ができればと思っているんです」

これまで20年近く、途上国の子どもたちに毎月援助金を送り、文通をし、里親としての活動もしてきた。
「計画的に働いてきたわけではないけれど、大事にしたいもの、なりたい自分に照らし合わせると、道は外していないかな」
いかに可能性を広げるかは、自分しだい。人の秘められた力を最大限に発揮させるプロフェッショナルコーチの後藤さんは、自らの名コーチでもある。
  プロフィール
後藤美香さん Goto Mika

1959年生まれ。
家族構成/夫、義母

宮城県石巻女子高校を卒業
京都のコンピュータ専門学校に進む

1979年 
大阪の大手電機メーカーに就職
上記を皮切りにコンピュータ業界で18年のOL経験

1998年 
38歳で仙台の外資系金融会社に転職
2000年問題対応のため東京に単身赴任

1999年 
コーチングを知り、勉強をスタート

2001年 
41歳でフリーのコーチとして始動

2004年 
(有)アライブ・ワンを設立
コーチングスキルをベースに企業・NPO・福祉の現場での人材育成研修、コーチング養成講座、パーソナルコーチなどを展開





コミュニケーションスタイルを、ゲーム感覚で直感型、決断型、分析型、温和型に分類する、アライブ・ワンが商品開発中のカード。


宮崎駿作品はもちろん、『ナルト』や『十二国記』もお気に入り。「アニメには人生が詰まっている」と週2〜3本、眠る前に観る。














企業プロフィール
  有限会社アライブ・ワン http://www.alive-one.com/
2004年設立。契約を含め社員12名(うち女性6名)。
モチベーションアップを図る、対話型のコミュニケーション技術『コーチング』講座を開講。女性営業職のためのコミュニケーションアップや女性管理職・経営者のコーチング講座など多数。7/22(土)には行動スタイル別コーチング講座を開催。
7/21(金)19〜21時には後藤美香さんによる海外支援の講演が行われるので、詳しくはプラン・ジャパンまで。
 
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