ファッション誌より専門書
ジュエリーといえば、華やかな世界。アトリエもファッション誌にあふれているのかと思ったら、意外に書棚にはカタイ内容。ジュエリーの専門書や技術書、すぐ手に取りやすいところに経営に関するハードカバーが並んでいる。
「ファッション誌は見ないんです。現代女性のニーズや願望を知るためにリサーチするだけ。流行として出たものを追ってもしようがないし、流行をつくる役割でもないので」

心の内面に添ったジュエリーという役割がはっきりしているから、雪音さんに作家としての迷いはない。


経営の不安はアクションで解消
あえて言うならば、不安を感じるのは、経営面に関してのこと。
「いくらパートナーシップとはいえ、きちんと還元していくためには?という自分への質問は、いつも心の中にあります。」

それは、経営者のだれもが抱える不安。正解がないからこそ、いまとっている方法が、結果としていいものになるのか不安がよぎる。その不安にどう向き合い、転換していくのか。雪音さん自身が解決する方法も心得ている。
「不安は根拠のないところから生まれる想像。だから、それをなるべく早くアクションにかえていくんです」失敗はいくらでもしていい。小さな成功を重ねて行く。

ホームページやブログで価値観や想いを共感したくれた人と、実際にワークショップや展示会で会う。パートナーが立ち上げた、石のパワーから得たことを共有するコミュニティサイトで、同じ想いの人とのネットワークを広げる。
お客さまは全国に300人弱。その人の心と体の状態を安定させてくれるお守りにもなる石、次のステージへと昇華させてくれる石といったパワーストーンジュエリーだから、一人ひとりと心の交流ができ、繰り返しオーダーするお客さまが多い。


起業にエリア格差は感じない
仙台と東京を中心に開催しているワークショップも、神戸や名古屋など、西日本からの要望も入るようになってきた。
「起業する上で、エリア的な差は感じません。発信はどこからでもできます。出会いやきっかけはバーチャルでもかまわない。でも必ず、その後でリアル(現実)に共有できる場をつくるのが大切です。実際に、ユキネへのニーズが高いのも、東京や関西とか四国とか。ネットでの広がりは全国的なので」
起業して変わったことといえば、人前に出るのがイヤじゃなくなったこと。「ワークショップの講師なんて信じられない、取材も恥ずかしいのでやめて」という感じだったけれど、素直に受けられるようになってきた。それは、意識が自分に向いている証拠だと気づいたから。目線を自分から相手へと変えると、人前に出ることは手段でしかないとわかった。  
一番大事なのは、お客さまの「内なる声、内なる思い、内なるヴィジョンを形にするのが自分の役割」。そう捉えられるようになってきた。


創作に必要なのは「暮らす環境」
 東京の方がニーズははるかに多いけれど、拠点は仙台。
「“モノづくり”をする上で、暮らす環境は大事で。自分には緑があって、食べものがおいしくて。体や心にとっての環境が大切なんです」  
目に入ってくるもの、生活に関わってくるもの、それらすべてが、モノづくりのインスピレーションにつながる。雪音さんにとって仕事は、表現することであり、生きること。だから、自分にとって心地良い環境に住んでいる限り「アイデアが枯れることはない」のだという。

これからの時代、さらに精神性とビジネスの両立が大切になり、ヒーリングやアロマといったものへのニーズが高まってくると考える雪音さん。これからは、もう一歩進んだスタンスを目指している。
「精神世界をビジネスにしている人で、よくないと思うのは、相手の答えを決めてしまうこと。それは依存関係をつくってしまうことになるんです。答えは、その人の中にある。だから、その人自身がもっている答えに気づくように、時間がかかっても待つ必要があります。そうしたマナーも、ワークショップなどで高めていきたい」

その考えも、パートナーと交わしたメールミーティングで「すべての会社は、教育産業である。お互いに教育し、教育されるもの」という思いに至ったことが大きい。
信頼できる人と力を合わせ、ビジョンを共有する。起業し、安定した経営をしていくポイントは、そこにあるのかもしれない。
  プロフィール
雪音りえさん Yukine Rie

宮城県生まれ。
家族構成/夫

武蔵野美術大学短期大学部
工芸デザイン科 金工コース卒業

アパレルブランドに入社
小物部門の企画や生産管理を担当

退社
仙台に移り、オーダーメイドジュエリーの製作を開始

2004年
YUKINE DESIGN WORKSを起業
「ソウル・ストーン」「ステージ・ストーン」という独自の定義をもとに、オリジナルジュエリーを製作するインナーヴィジョンアーティストとして、本格的にスタート。ネット販売と対面式のフルオーダーを中心に展開




ネットで取り寄せた本を、新幹線で移動する時間や寝る前、おフロで読む。最近は経営に関するものが多いそう。


独自の鑑定方法をもとに、その人に合った「ソウル・ストーン」と「ステージ・ストーン」を選び、フル・オーダーメイドジュエリーのデザインを手描きしていく。






企業プロフィール
  YUKINE DESIGN WORKS http://www.yukine.jp
2004年起業。パートナーは3名(うち女性2名)。
クライアントの「内なる声、内なる思い、内なるヴィジョン」を形にする、インナーヴィジョン・アーティスト雪音りえさんが代表。ネットでは、水晶をベースにしたジュエリーのオリジナルブランド【unity】と、アンティークテイストの【YUKINE】を販売。完全紹介制のみで受けるフルオーダーでは、その人だけに重要な意味を持つジュエリーをじっくり相談しながら創作する。
 
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