センスのいいオフィスに、黒のスーツで決めたキャリアカウンセラー。そのシチュエーションは少し気後れしてしまいそうだけれど、金山由佳さんの親しみやすい笑顔とすっと心に寄り添う応対で、空気が一気に和らぐ。話をうかがうほど、言葉に、反応に、誠実さがにじみ出る。仕事の枠だけに収まらないその想いの深さは、どこからくるのだろう。


マインドを高める転機は自ら
もっとキャリアアップしたい、スキルアップしたい。自分にとっていまの仕事は合っているのか。転職したい理由は、人それぞれ違う。1日3〜4人の割合で、じっくり相談にのる。キャリアカウンセラーは、人との関わりが深い専門職。それが金山さん、「子どもの頃は人見知りだったんです」というから意外。いまからは、まったく想像がつかない。人材サービス業に就いたのも、業界に興味があったというより、支店の立ち上げで、“新しくつくること”に興味があったからだそう。
「もといた通信関係の会社では、できあがったシステムの中でパソコン入力をするオペレーション業務だったので、新しくつくることに惹かれたんです。正直、派遣会社のことはよくわからないまま入社して」
新しいメンバーに、新しい事務所、新しい仕事。希望いっぱいで転職した。けれど、すぐに考えが甘かったことに気づかされた。派遣業務で扱うのはあらゆる業界の、さまざまな職種。IT関係となると、職種を聞いてもわからないことさえあった。営業職も初めてで、足りない知識を補うために、勉強しなければいけないことばかり。ここで出会った上司に、仕事に対する姿勢から取り組み方、生きていくうえでの考え方も教えてもらった。子どもの頃から壁にぶつかったら逃げてしまうほう。壁は乗り越えるものだと気づかせてもらって初めて、達成感を覚えた。 


小さなスタートが、大きなステップに
影響を受けた上司が新会社を設立するのに伴い、金山さんも創業メンバーの1人として加わることになった。前回の転職では、支店の立ち上げに加わったが、それは本社があり、マニュアルもあってのこと。今度はすべてがイチから。キャリアカウンセラーの業務はもちろん、総務、経理など事務も担当することになった。壁を乗り越えることを覚えた金山さんは、さらに高く、険しい壁に向かっていく。
会社は3年で急成長し、社員も増えた。金山さんのカウンセリング数も、前職から数えると4,000人を越えた。
「途中までは数えていたんですけど、もう数えきれなくて」
小さく踏み出した一歩が、いつの間にか大きなステップになっていた。


ひたすら親身に、深く聞く
 相談者は、20代から60代まで。いろいろな年代の人が、仕事や家庭、さまざまな要因から転職を考える人が多い。

「この仕事は、転職というキーワードからはじまる、その人の人生に関わること。ご相談いただいた方の立場になって、全身全霊をかけて聞き、親身に考えます」

ただ求人を紹介すればいいとは考えていない。相談者の話を聞いてみると、現職を辞めないほうがその人のためにいいのでは、という場合もある。そのときは、転職の道だけでなく、今の仕事のまま違う方法もあると選択の幅を広げるアドバイスをする。それは相談者にとっては、とてもありがたいことだけれど、相談者が就職してはじめて成果となる金山さんの状況から考えると、どうなのだろう。
「転職を踏みとどまった方も、ほかで就職先が決まった方も、知り合いの方にヒューレックスを紹介してくださることが多いんです。“ここに来てよかった”と思ってもらえれば、何かにつながりますから」
遠まわりのようで近道。信頼の証が、クチコミになって表れている。


人生のよりよい選択は、本音から
金山さんよりも、はるかに経験が豊富な年上の相談者もいる。最初はどう接すればいいのか戸惑いもあった。同じように苦労した経験や豊かな人生経験がないと役に立てないのでは、と思ったこともある。けれど、いくら人生経験が豊富でも、相手の立場になって考え、親身に行動できなければ役には立てない。そう気づいてからは、相手が話しやすいように、とにかく一生懸命に聞くことを心がけた。

でも、相づちを打つだけでは、相談者のためにならない。場合によっては、相談者にとって耳の痛いことも言わなければならないことがある。おもしろくなさそうな顔をされても、その人のために言うべきこと。それで、相談者がガラリと変わることがある。

相談者から「会えてよかった」「会ったことで考えが変わった」「金山さんのおかげ」など、御礼を言われることもある。

「自分なりに一生懸命に相談にのって、たまにそう言っていただけるのが、なによりうれしいんです。モノではなく、その人の気持ちをいただいたことになりますから」

だれかの幸せと、自分の仕事がつながっていることを実感できる喜び。それが、さらに仕事がおもしろくさせる。
  プロフィール
金山由佳さん Kaneyama Yuka

1971年山形県生まれ。
家族構成/父、母、姉

1995年 
清泉女子大学 文学部を卒業

1995年 
通信関係の会社に入社

1998年 
人材派遣会社に転職
支店立ち上げスタッフとして入社。営業職経験後、コーディネーターを5年間務める

2003年 
ヒューレックス(株)の立ち上げに創業メンバーとして参画
CDA資格をもつキャリアカウンセラーとして、正社員の転職希望の相談にのる。その人のライフプランと目標から考えたアドバイスに定評がある




ボルドー色の手帳は、毎年同じシリーズを愛用。会社が効率よくまわるアイデアを書きとめるノートは、好きなピンク。


A4の資料がどっさり入り、仕切りが多くて使いやすいバッグがお気に入り。定番カラーは、スーツの色に合わせやすい黒か茶。





















 
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