
サポート的な仕事が多い総務の仕事も、気持ちしだいで創造的にできる。細川さんも、自分で課題を見つけ、自分に宿題を出す。
「自分たちの手でニュースレターを発行することになったとき、せっかくだからワードじゃなくイラストレーターで作ったらいいのでは、と。言い出したら、自分が担当になります。パソコンはまったく詳しくないんですが、チャレンジしてみようと思って。自分で到達点をイメージして、やりがいを見つけるんです。それで身につく喜びもあるし」
いろいろなことを知りたい、学びたいタイプ。仕事を右から左へラクに流せばいいという考えはない。そこに自分らしい工夫を加えることで、ひらめきが生まれ、達成感も感じられる。
自分でおもしろがること。それが、仕事を楽しむことにつながる。
かといって、一人よがりになることはない。上司への報告や相談も忘れず、全体を俯瞰できる視点も持ち合わせている。それが、これまでのキャリアから得た成果でもある。

新しいことに挑戦しようという気持ちになれるのも、認めてくれる環境があるから。同僚の女性社員の存在は、とても大きい。年齢層もキャリアもさまざまな6名は、お手本でもあり、相談相手でもあり、他愛のないおしゃべりをする仲間でもある。
いろいろなことに挑戦していく細川さんに、ときに母のように、ときに姉のように、「がんばってるね」「よくやってるね」と声をかけ、目を細めて見守ってくれる。
お昼になれば、手作りのお弁当や仕出しのお弁当を持ち寄って、みんなでおしゃべり。
「ずっと仕事をしている人、子どもが小さいときは子育てに専念した人、いろんな働くパターンを身近で見て、話を聞けるから、新鮮で刺激にもなるんです」
毎日、ペットの話や植木市の話、アウトドアの話、いろいろな話題でワイワイ盛り上がる。それが、なごみの時間になっている。

こうした環境のせいか、年齢のせいか、仕事をする上で「ヘンな力が抜けた」という細川さん。
「20代のときは、仕事には生きがいや、やりがいがなければと、つねに目標をめざして突っ走っていました」
いつも時間に追われていた20代。がんばらなければという思いから、衝突することもあった。いまの会社に入ったのは、ちょうど30歳のとき。年配の男性が多い職場は、それまで経験した会社とは雰囲気が違っていた。出向者がほとんどという環境は、ひとつの企業組織と違い、さまざまな価値観も混ざり合う。
「最初、自分が若手と言われたときはビックリ。違和感がありました。社内は、まるで社会の縮図を見ているようでもあり。どうやったらスムーズに進められるか、角が立たないか。ワンテンポおいて考えるようになりました。きっとこれから近所づきあいにも役立つと思います」

これまでは、仕事か、家庭か、どちらかしかないと思っていた。
「女に生まれなきゃよかったと、20代のとき思っていたんです。やりたい仕事があっても、結婚したら、子どもができたら、どうする……と考えて。男性は仕事か結婚(子育て)かの選択に迫られることがあまりないので、いいなぁと思っていました。だから、私は20代で結婚したいと思ったことはなかったんです。でも、いまはどちらもできそうな気がします。結婚する自分もイメージできるし、結婚しながら働く姿もイメージもできるし」
それはイメージだけでなく、現実へと動きはじめてもいる。結婚を決めたのも、仕事を続け、環境を大きく変えることなく、無理なくスムーズにスライドできる気がしたから。
「ひとつステージが変わるのが、楽しみなんです。時期的に忙しいこともあるけれど、比較的見通しがきくので、変化も受け入れやすいんだと思います。」
変化を重ねた20代があったからこそ、見えてきた仕事と家庭の両立。結婚準備のただ中にあっても、その表情は穏やかで涼やか。細川さんのいまの心情が、そのまま表れていた。
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